「八潮」という名について
本校第十回(昭和五年)卒業生 篠田桃紅 先生 書
「古語で新しい響きをもった『八潮』という名はほんとうにうつくしい。途方もなく大きな海の心を昔の人が優雅な言葉にしたように、私は、私の心の『八潮』を線に托しました」これは同窓の篠田桃紅さんが『八潮』の額を書いて下さった時に添えられたことばです。私共の先輩は、第八の八の字と、当時品川湾を間近に朝夕望み見る環境から、古語の中に「八潮」を選び出して当時の短歌部の会誌の名とし、それをやがて同窓会の名とし、更に母校の名とするようになりました。創立以来の校歌は限りなく優しく美しく素朴な名歌名曲でしたが、創立四十周年の記念として改められた現在の校歌には、作詞者も作曲者も「八潮」の名称に感動と意欲をそそられたことが十分に推察されます。「八潮」の名はわれわれ関係者ばかりでなく、日本人の一人一人が感動と意味を共有する美称です。私もまた「八潮」の名を誇りに思い、このことばの響きに感動を禁じ得ません。
(元八潮会会長 真田淑子様談)